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壁量電卓 for 南部支部 premium Ver.4.0 取扱説明書

第1章 はじめに

  1. 本アプリについて
    • 本アプリは、2025年施行の改正建築基準法に準拠した木造建築物の壁量計算をサポートするツールです。
    • 主に建築設計者や関連業務に携わる方向けに、煩雑な壁量計算作業の効率化を目的として開発されました。
    • 直感的な図面入力と自動計算により、設計初期段階での壁量バランスの検討や、各種判定作業を迅速に行うことができます。
    • 一般社団法人東京都建築士事務所協会南部支部と、株式会社なまあず本舗と、Catfishなおうちの制作ソフトで、南部支部会員専用のアプリとなります。
  2. 主な機能
    • マウス操作による壁・床面積のCADライクな入力
    • 1階・2階の個別入力とデータ管理
    • 地震力および風圧力に対する必要壁量の自動計算と判定
    • 4分割法による壁量バランスの計算と判定(壁量充足率、壁率比)
    • 入力データの保存(JSON形式)と読込
    • 計算結果の帳票印刷機能
    • DXF形式での図面出力機能
    • 関連計算ツールへの連携ボタン(N値計算、細長比、柱負担範囲)
  3. 動作環境
    • 本アプリはウェブブラウザ上で動作します。
    • 推奨ブラウザ:Google Chrome 最新版
    • (その他、HTML5、JavaScriptが正常に動作するモダンブラウザ)

第2章 画面構成と基本操作

  1. 画面構成
    • ヘッダーエリア: アプリケーションのタイトルが表示されます。
    • ファイル操作エリア: 「解説」「読込」「保存」「印刷」「DXF出力」「N値計算」「細長比」「柱負担」ボタン、セクション切替ボタン(「壁入力」「建物情報入力」「結果概要」)、計測モードボタンが配置されています。
    • メインエリア: 選択されたセクションの内容が表示されます。
      • 壁入力セクション: フロア選択、作図キャンバス、線分データ表示エリア、簡易地震判定結果表示エリア。
      • 結果概要セクション: 床面積・必要壁量入力、地震力壁量判定、風圧力壁量判定、4分割法判定(充足率・壁率比)の結果表示エリア。
      • 建物情報入力セクション: 作成日付、建物名、階高、係数などの建物関連情報を入力するフォーム。
    • フッターエリア: 開発元情報が表示されます。
  2. セクションの切り替え
    • ファイル操作エリアにある「壁入力」「建物情報入力」「結果概要」ボタンをクリックすることで、表示するセクションを切り替えます。
  3. フロアの選択 (壁入力セクション)
    • 「1階」「2階」のラジオボタンで、入力対象のフロアを選択します。
    • フロアを切り替えると、作図キャンバスと関連データが選択フロアのものに変わります。軸データは両階で共通です。
  4. データの読込・保存
    • 読込: 「読込」ボタンをクリックし、保存されたJSONファイルを選択すると、過去の入力データを読み込みます。
    • 保存: 「保存」ボタンをクリックすると、現在の入力データが「壁量電卓V3保存.json」というファイル名でダウンロード保存されます。 建物名は必ず入力してください。
  5. 印刷
    • 「印刷」ボタンをクリックすると、計算結果が帳票形式で新しいウィンドウに表示され、印刷ダイアログが開きます。 建物名称が帳票タイトル等に使用されるため、事前の入力が推奨されます。
  6. DXF出力
    • 「DXF出力」ボタンをクリックすると、作図キャンバスの内容(グリッド、軸、壁、床面積など)がDXFファイルとして出力されます。
  7. 計測モード
    • 「計測」ボタンで計測モードのON/OFFを切り替えます。
    • 計測モードONの状態でキャンバス上を2点クリックすると、その2点間のグリッド距離(水平または垂直)をアラート表示します。斜め方向は計測しません。
  8. Undo(元に戻す)機能
    • キーボードの「←(左矢印キー)」または「Ctrl + Z」で、壁・床面積の描画や削除、倍率変更などの操作を元に戻すことができます。

第3章 壁入力

  1. グリッドと軸の操作
    • 概要: 壁や床面積は、キャンバス上のグリッド(交点)を基準に入力します。X軸とY軸の名称や間隔は編集可能です。
    • 軸の名称変更:
      • 軸名(例: X1, Y1)を右クリックし、「名前の変更」を選択します。
      • 表示された入力欄に新しい名前を入力し、Enterキーで確定します。重複する名前は設定できません。
    • 軸の追加:
      • 軸名を右クリックし、「軸追加」を選択します。
      • 挿入位置や新しい間隔を入力するプロンプトが表示されるので、指示に従い入力します。
    • 軸の削除:
      • 軸名を右クリックし、「削除」を選択します。
      • 壁や床面積の端点として使用されている軸、先頭・末尾の軸は削除できません。
    • 軸間隔の変更:
      • 軸間の寸法表示部分をダブルクリックまたは右クリックします。
      • プロンプトが表示されるので、新しい間隔 (0.001m~2m) を入力します。
  2. 壁の入力
    • 描画:
      • キャンバス上のグリッド点をマウスの右ボタンでクリックして始点を設定します。
      • 次に、別のグリッド点を右ボタンでクリックすると、2点間に壁(線分)が描画されます。壁は水平または垂直方向のみ描画可能です。
      • 描画時に壁倍率の入力が求められます (0.01~7の間)。
    • 壁倍率の変更:
      • 描画された壁の倍率表示部分を右クリック(またはダブルクリック)すると、倍率変更のプロンプトが表示されます。
    • 削除:
      • 削除したい壁の倍率表示部分を右クリックし、コンテキストメニューから「削除」を選択するか、確認ダイアログで「OK」します。
      • または、マウスの右ボタンで始点をクリックした後、削除したい壁のもう一方の端点を再度右クリックし、表示される確認ダイアログで削除することも可能です(※要確認:この操作は線分追加の挙動に近い)。
  3. 床面積の入力
    • 描画:
      • キャンバス上のグリッド点をマウスの左ボタンでクリックし、そのままドラッグして対角のグリッド点でボタンを離すと、矩形の床面積エリアが描画されます。
      • 床面積矩形は重複して配置できません。
    • 削除:
      • 描画された床面積矩形の上で右クリックし、表示されたコンテキストメニューから「削除」を選択します。
  4. 線分データ・軸データ・床面積データの確認
    • キャンバス右側のテキストエリアには、入力された壁(線分)、X軸・Y軸の情報、床面積矩形の詳細データがリアルタイムで表示されます。
    • 建物情報や4分割法の面積・壁量などもここに表示されます。
  5. 存在壁量の簡易判定
    • 「壁入力」セクション下部には、各階・各方向の現在の存在壁量が表示されます。
    • 簡易的な地震力に対する判定として、必要壁量を満たしていれば青字、不足していれば赤字で表示されます。

第4章 建物情報入力

このセクションでは、壁量計算に必要な建物全体の情報を入力します。各項目は保存・読込の対象となり、印刷時にも使用されます。

  1. 作成日付: YYYY-MM-DD 形式で入力します(例: 2025-05-24)。
  2. 建物名: 計算対象の建物名称を入力します。(必須入力)
  3. 1階階高 / 2階階高: 各階の階高をメートル単位で入力します。
  4. 最高高さ / 最高軒高: 建物の最高高さ、最高軒高をメートル単位で入力します。
  5. 1階 係数 / 2階 係数 / 平屋 係数: 地震力計算に用いる床面積に乗じる係数を入力します。(必須入力)
    • 「1階 係数」: 2階建ての場合の1階の係数。
    • 「2階 係数」: 2階建ての場合の2階の係数。
    • 「平屋 係数」: 平屋建ての場合、または4分割法において上部に2階の床がない1階部分の判定に使用される係数。
      表計算ツール、早見表などで算出した係数を持ってきます。総2階の時は、平屋の係数は使いません。部分2階建てで4分割法で1階を平屋の係数を使うケースのみ平屋の係数を使います。表計算ツールで部分2階建てを設計する場合は、2階建てのツールと平屋のツールでそれぞれ算出しておいてください。
  6. 1階X方向(→)見付面積 / 2階X方向(→)見付面積: 風圧力計算に用いるX方向の見付面積を平方メートル単位で入力します。
  7. 1階Y方向(↑)見付面積 / 2階Y方向(↑)見付面積: 風圧力計算に用いるY方向の見付面積を平方メートル単位で入力します。
    見付面積は、方向を間違えず、芯寸法ではなく実際の外面の面積で入力します。また入力値は、1階の対象面積ではなく、2階の部分を除いた面積で入力します。1階+2階の面積が、1階の床面から1.35m上がったラインから上の総面積となります。

第5章 結果概要

このセクションでは、「壁入力」および「建物情報入力」セクションで入力された情報に基づいて自動計算された各種結果が表示されます。計算ボタンは特になく、リアルタイムに自動計算されます。

  1. 床面積・必要壁量(自動計算)
    • 1階/2階 床面積(㎡): 「壁入力」で描画された床面積矩形の合計面積が自動表示されます。手入力での変更も可能ですが、描画内容とは連動しなくなります。
    • 1階/2階 必要壁量(m): 上記床面積と「建物情報入力」で設定した係数に基づいて、地震力に対する必要壁量が自動計算され表示されます。 (床面積 × 係数 / 100)
    • 1階/2階 X(Y)方向風必要壁量(m): 「建物情報入力」で設定した見付面積に基づいて、風圧力に対する必要壁量が自動計算され表示されます。
      • 1階X方向: (1階X方向見付面積 + 2階X方向見付面積) × 0.50
      • 2階X方向: 2階X方向見付面積 × 0.50
      • Y方向も同様に計算されます。
  2. 地震力壁量判定
    • 各階・各方向(X, Y)について、「存在壁量 / 必要壁量 (検定比)」の形式で表示されます。
    • 存在壁量が必要壁量を満たしていれば青字で、不足していれば赤字で表示されます。検定比が1.0以上であればOKです。
  3. 風圧力壁量判定
    • 各階・各方向(X, Y)について、判定結果(OK/NG)と検定比が表示されます。
    • 存在壁量が必要壁量を満たしていれば青字で「OK」、不足していれば赤字で「NG」と表示されます。
  4. 4分割法判定
    • 概要: 床面積を上下左右の端からそれぞれ1/4の領域に分け、各領域の壁量を検討します。
    • 表示内容:
      • 各領域の面積(m²): 1階/2階それぞれの上側・下側・左側・右側部分の床面積。
      • 必要壁量(m): 各領域の面積に、「建物情報入力」で設定した係数を乗じて算出(平屋係数が適用される場合あり、「※」で示されます)。
      • 存在壁量(m): 各領域内に存在する有効な壁長(壁長×倍率)の合計。水平壁は上側・下側判定に、垂直壁は左側・右側判定に算入されます。
      • 壁量充足率: 存在壁量 / 必要壁量。1.0以上であれば青字で「OK!」、未満であれば赤字で「NG!」と表示。
    • 壁率比判定:
      • 1階 上下比 / 左右比: 1階の上側と下側、左側と右側の壁量充足率の比(小さい方/大きい方)。
      • 2階 上下比 / 左右比: 2階も同様。
      • 比が0.5以上であれば青字で「OK!」、未満であれば赤字で「NG!」と表示。

第6章 DXF出力について

  1. 出力内容
    • 現在選択中のフロアの作図情報がDXFファイルとしてエクスポートされます。
    • グリッド線、グリッド点
    • 軸ラベル(X軸、Y軸)
    • 軸間寸法テキスト
    • 入力された壁(線分):指定した壁倍率に応じて、中心線から両側に5.25のオフセット線として描画されます(中心線はオプション)。壁倍率の数値もテキストとして配置されます。
    • 床面積矩形(ポリライン)
    • 4分割法の参照線(点線)
  2. レイヤー構成(例)
    • Grid: グリッド線
    • Points: グリッド点
    • XLabels, YLabels: 軸ラベル
    • Spacing: 軸間寸法テキスト
    • Walls: 壁線分
    • Multipliers: 壁倍率テキスト
    • Areas: 床面積矩形
    • Divisions: 4分割法参照線
    • ※実際のレイヤー名はdxf.js内の定義に準じます。
  3. 利用方法
    • 出力されたDXFファイルは、一般的なCADソフトで開いて編集や確認が可能です。

壁量電卓 N値計算機能

N値計算機能

本章では、「壁量電卓 N値(柱ズレ補正なしバージョン・高さ補正)」機能について説明します。この機能は、壁量電卓で作成したプランデータをもとに、柱のN値を計算し、適切な金物を選定するための補助を行います。

1 N値計算機能の概要

  1. 機能の目的
    • 壁量計算で検討された耐力壁配置に基づき、各柱に生じる引張力に対応するN値を算定します。
    • 算定されたN値から、適切な柱頭・柱脚金物を選定するための目安(いろは記号)を提示します。
  2. 壁量電卓データとの連携
    • 本機能は、「壁量電卓」で保存されたJSONファイルを読み込むことで、壁配置、床面積配置、X軸・Y軸データを引き継ぎます。
    • 読み込まれたデータに加えて、柱位置、筋かい情報、横架材天端間高さを入力・編集することでN値計算を行います。

2 操作画面と基本フロー

  1. 画面構成
    • コントロールエリア:
      • 「読み込み」「保存」「柱読込」「印刷」「筋かい」ボタン
      • 「1階/2階 横架材天端間高さ(m)」入力フィールド
      • フロア選択ラジオボタン(1階/2階)
      • 「計算」ボタン
    • キャンバスエリア : 壁量電卓と同様のグリッドベースの作図エリア。柱や筋かいが表示・編集されます。
    • 線分・柱データ表示エリア : 読み込まれた壁データや入力された柱、筋かいの情報が表示されます。
    • 筋かいメニュー : 「筋かい」モード時に表示され、筋かいの種類(30, 45, 30▲, 45▲)や削除を選択します。
    • N値計算表エリア: 計算実行後に、各柱のN値計算結果が表形式で表示されます。
  2. 基本的な操作フロー
    1. データ読み込み: 「壁量電卓」で保存したJSONファイルまたは柱情報ファイルを読み込みます。
    2. 高さ入力: 1階および2階の「横架材天端間高さ」を入力します。
    3. 柱配置: (必要に応じて)キャンバス上で柱を配置または削除します。多くは読み込みデータに含まれます。
    4. 筋かい入力: 「筋かい」モードをオンにし、壁区間に筋かいを配置し、種類を設定します。
    5. 計算実行: 「計算」ボタンをクリックします。
    6. 結果確認: 「N値計算表」およびキャンバス上の金物記号を確認します。
    7. 保存・印刷: 必要に応じて、N値計算用データを保存したり、結果を印刷したりします。

3 入力と操作詳細

  1. データの読み込み
    • 壁量電卓データ読み込み: 「読み込み」ボタンをクリックし、壁量電卓で保存したJSONファイルを選択します。壁配置、床面積、軸組、そして既存の柱・筋かい情報が読み込まれます。
    • 柱データ個別読み込み: 「柱読込」ボタンで、柱情報のみが保存されたJSONファイルを読み込みます。
  2. 横架材天端間高さの入力
    • コントロールエリアにある「1階横架材天端間高さ(m)」「2階横架材天端間高さ(m)」に、それぞれの階の数値をメートル単位で入力します。デフォルトは2.70mです。 この値はN値計算時の高さ補正に用いられます。
  3. フロアの選択
    • コントロールエリアのラジオボタンで「1階」または「2階」を選択し、編集対象のフロアを切り替えます。
  4. 柱の入力と削除
    • 入力: 「筋かい」モードがオフの状態で、キャンバス上のグリッド点を左クリックすると柱が追加されます。ただし、壁の線分上(端点を除く)には配置できません。重複する柱も追加されません。
    • 削除: 「筋かい」モードがオフの状態で、キャンバス上の柱を右クリックすると削除されます。
  5. 筋かいの入力と編集
    • 筋かいモード: 「筋かい」ボタンでオン/オフを切り替えます。オンの時はボタンがアクティブ(スタイルによる)になり、カーソルが十字に変わります。
    • 描画・編集:
      1. 筋かいを設置したい壁区間の始点となる柱(または壁の端点グリッド)を左クリックします。
      2. 次に終点となる柱(または壁の端点グリッド)を右クリックします。その区間に壁が存在しない場合はアラートが表示されます。
      3. マウスポインタの位置に筋かいメニューが表示されます。
      4. メニューから筋かいの種類(例: 「30」「45」「30▲」「45▲」)を選択すると、筋かいが設定されます。
        • 「30」「45」は自動方向判定(◢または◣)付きです。
        • 「▲」が付くものは垂直な筋かいを示唆します(コード上では特に区別された描画ロジックは見られませんが、種類として保持されます)。

          ※◣は左あがり、◢は右上がりです。▲はたすき掛けとなります。
      5. 既存の筋かいの記号部分を右クリックすると、同様にメニューが表示され、種類変更や削除が可能です。
    • 削除: 上記の筋かいメニューから「削除」を選択します。

4 計算実行と結果表示

  1. 計算実行
    • 「計算」ボタンをクリックすると、入力された情報に基づいてN値計算が実行されます。
    • 計算前に、壁の端点に柱が存在するかのバリデーションが行われ、問題があればアラートが表示されます。
  2. N値計算表の確認
    • 計算が完了すると、画面下部の「N値計算表」に結果が表示されます。
    • 表示項目:
      • 柱位置: 例「1階 X1Y1」
      • 方向: X方向、Y方向
      • 筋かい: 入力された筋かいの種類と補正係数を表示(例: 30◢I□+0.5
      • 柱位置(タイプ): 「出隅最上階」「通常下階」など、柱の条件を表示。柱ズレの可能性がある場合は「※」や「△」が付記されます。
      • 計算式: N値の計算に用いられた式を表示。
      • N値: 計算されたN値(小数点以下2桁表示、3桁目切り上げ)。
      • 採用N値: X方向とY方向のN値のうち大きい方の値。
      • 耐力: 採用N値 × 5.3 (kN)
      • 金物: 採用N値に基づいて選定された金物の目安(いろはにほへとちりぬ★)。
    • 高さ補正について: 表の下に、適用された高さ補正係数が表示されます(例: 1階高さ補正=1階横架材天端間高さ 2.80m÷2.7m=1.04)。補正がない場合は「N値の高さ補正なし」と表示されます。
    • 注記: 表の下に計算結果の解釈に関する注記が表示されます(「※印は、直上に柱がなく1m以内に上階の引き抜きの影響を受けそうな柱がある場合…」など)。
  3. 図面上の金物記号表示
    • 計算後、キャンバス上の各柱の右上に、選定された金物の目安となる「いろは」記号が表示されます。
  4. データの保存
    • 「保存」ボタンをクリックすると、現在の柱配置、筋かい情報を含むフロアデータが「壁量電卓柱.json」というファイル名でダウンロード保存されます。
  5. 印刷
    • 「印刷」ボタンをクリックすると、N値計算表と、各階の平面図(柱・筋かい・金物記号含む)が新しいウィンドウに表示され、印刷ダイアログが開きます。

5 計算ロジック概要 (主なポイント)

  • SAX, SAY値: 各柱に接続する壁の倍率の差(または片側のみの場合はその倍率)として計算されます。
  • 筋かい補正 : 柱に接続する左右(または上下)の筋かいの種類と向き(柱頭側か柱脚側か、▲タイプか)に応じて補正係数(-0.5, 0, +0.5, +1.0など)が決定されます。
  • 上階荷重の考慮: 1階の柱について、直上または近傍(1m以内・同一軸線上)にある2階の柱から伝達される荷重(SAX, SAY)を考慮します。
    • 直上に柱がない場合、計算結果の柱位置タイプに「※」(近傍に影響柱あり)または「△」(影響柱なし)が付記されます。
  • N値計算式: 柱の条件(出隅/通常、最上階/下階)、SAX/SAY値、筋かい補正、上階荷重、横架材天端間高さによる高さ補正係数を考慮して計算されます。
    • 高さ補正係数 = MAX(実際の横架材天端間高さ, 3.2m もし3.2m超の場合) / 2.7m (小数点以下3位切り上げ)
  • 金物選定の目安: 採用N値に応じて「い」~「ぬ」、30kN超は「★」として表示されます。
  • 壁量電卓 柱負担範囲ビューア
    柱負担範囲ビューア機能 (Ver2 南部支部版)

  • 本章では、「壁量電卓 柱負担範囲リアルタイムビューア」機能について説明します。この機能は、壁量電卓で作成・保存されたプランデータと柱配置に基づき、各柱のおおよその負担範囲(面積)をリアルタイムで計算し、視覚的に表示します。

    1 柱負担範囲ビューアの概要

  • 機能の目的
    • 各柱が床面に対してどれくらいの範囲を分担しているかを視覚的に把握しやすくすることを目的としています。
    • 柱の配置計画における参考情報として活用できます。
    • 負担範囲は、各柱を中心としたボロノイ図を床範囲でクリッピングして計算・表示されます。
  • 壁量電卓データへの依存性
    • 本ビューア機能では、壁や床を直接入力・編集することはできません
    • 必ず「壁量電卓」または「N値計算機能」で作成・保存されたJSON形式のファイル(壁量電卓V3保存.json壁量電卓柱.json など、柱情報を含むフロアデータ)を読み込んで使用する必要があります。
  • D3.jsの利用
    • 柱の負担範囲を計算するために、D3.jsライブラリのボロノイ分割機能を利用しています。
    •  
    • 2 操作画面と基本フロー

  • 画面構成
    • コントロールエリア:
      • 「読み込み」「保存」ボタン
      • フロア選択ラジオボタン(1階/2階)
    • キャンバスエリア (gridCanvas): 壁量電卓と同様のグリッドベースの作図エリア。読み込まれた壁・床、配置された柱、そして計算された柱の負担範囲が表示されます。
    • 線分・柱データ表示エリア (lineData): 読み込まれた壁データや配置された柱の情報、最大負担面積の計算結果などが表示されます。
  • 基本的な操作フロー
    1. データ読み込み: 「読み込み」ボタンをクリックし、「壁量電卓」等で保存したJSONファイルを指定します。
    2. フロア選択: 必要に応じて、表示・編集したいフロアをラジオボタンで選択します。
    3. 柱の調整: キャンバス上で柱を追加または削除します(詳細は後述)。
    4. 結果確認: 柱を配置・削除すると、リアルタイムで負担範囲が再計算され、キャンバスに表示されます。各柱の負担面積(㎡)や、最大の負担面積を持つ区画とその面積も表示されます。
    5. データ保存: 変更した柱配置を保存する場合は、「保存」ボタンを使用します。
  • 3 入力と操作詳細

  • データの読み込み
    • 「読み込み」ボタンをクリックし、ファイル選択ダイアログから、壁量電卓またはN値計算機能で保存されたJSONファイル(柱情報を含むもの)を選択します。
    • ファイルが正常に読み込まれると、壁、床、柱の配置がキャンバスに描画され、柱の負担範囲が自動的に計算・表示されます。
  • フロアの選択
    • コントロールエリアのラジオボタンで「1階」または「2階」を選択すると、表示が選択したフロアに切り替わります。
  • 柱の入力と削除
    • 柱の追加: キャンバス上の任意のグリッド点(他の柱がない場所)で左クリックすると、その位置に新しい柱が追加されます。追加と同時に負担範囲が再計算されます。
    • 柱の削除: キャンバス上の既存の柱の上で右クリックすると、その柱が削除されます。削除と同時に負担範囲が再計算されます。
    • 注意: 壁や床の入力・編集はできません。これらの要素は読み込んだデータに依存します。
  • 4 表示内容と解釈

  • 基本的な描画要素
    • グリッド、軸、壁、床: 壁量電卓と同様に表示されます。
    • : 青色の四角形で表示されます。
  • 柱負担範囲の表示
    • ボロノイ図とクリッピング: 各柱に対してボロノイ領域が計算され、その領域が読み込まれた床面積の範囲内でクリッピング(切り抜き)されたものが、各柱の負担範囲として灰色の点線で描画されます。
    • 各柱の負担面積: 各柱の近傍(右下)に、その柱の負担する床面積が平方メートル単位(小数点以下2桁)で表示されます。
    • 最大負担面積のハイライトと情報表示:
      • 最も大きな負担面積を持つ柱の区画が、半透明の黄色でハイライト表示されます。
      • キャンバスの左上には、この最大負担面積について、ピクセル単位の面積、換算式、および平方メートル単位の面積が表示されます (例: 最大面積 = XXXXpx² ÷ (100px × 100px) = XX.XX m²)。
  • 線分・柱データ表示エリア (lineData)
    • 読み込まれた壁(Line)の情報、配置されている柱(Pillar)の座標リストが表示されます。
  • 5 データの保存

  • 柱データの保存: 「保存」ボタンをクリックすると、現在の柱の配置情報を含むフロアデータ全体が 壁量電卓柱.json というファイル名でJSON形式でダウンロード保存されます。このファイルは、壁量電卓本体やN値計算機能でも読み込むことができます(柱情報が主となります)。

補足事項

  1. 計算の前提・注意事項
    • 本アプリは建築基準法および関連告示等に基づく一般的な木造軸組工法の壁量計算を想定しています。特殊な工法や詳細な構造規定については、別途専門家にご確認ください。
    • 入力値や計算結果の正確性については、利用者の責任においてご確認願います。本アプリの使用によって生じたいかなる損害についても、開発者は一切の責任を負いません。
    • 軸データ(名称、間隔)は1階と2階で共通のものが使用されます。一方の階で変更すると、もう一方の階にも反映されます。
    • 壁は数値で入力します。実際にない倍率などは考慮しません。また耐力壁の最小幅などもチェックしていませんので、御確認よろしくお願いします。
  2. 開発元
    • 株式会社なまあず本舗 Catfishなおうち